遺産相続の手続きにかかる費用は?代行する場合の費用相場について解説します
遺産相続と聞くと、複雑な手続きや親族間でのトラブルなど、なにかとネガティブなイメージをもつ人も少なくありません。
実際、時間も労力も必要なのは事実です。
ですが、遺産相続は他人事ではなく、いつかは経験するかもしれない手続きです。
そこで本記事では遺産相続の手続きが初めての方や、相続時のトラブルをできるだけ回避したい方に向けて、手続きの流れや弁護士などに依頼する際の料金相場についてわかりやすく解説します。
基本的に遺産相続はその道のプロに代行依頼した方が、書類の手続きや、相続時の税金対策などスムーズにことが進みます。
この他、遺産相続で起こりがちなトラブルや対処法などについても解説するので、不安な方はもしもの時のために参考にしてくださいね。
遺産相続の手続きの流れは大きく分けて5つ
遺産相続の手続きは複雑で、何から手を付けていいか分かりにくいですよね。
そこでまずは遺産相続の流れを把握するために、この章では大きく分けて5つの手続きについて紹介します。
遺産相続の手続きの流れは以下の通りです。
- 遺言書の有無の確認
- 相続人調査(戸籍の収集)
- 相続財産の調査
- 遺産分割協議
- 遺産の名義変更
それぞれ、具体的にどういった手続きが必要なのか解説するので、参考にしてくださいね。
遺言書の有無の確認
遺産相続を始める前に、まずは遺言書の有無をすみやかに確認します。
というのも、遺言書がある場合は、遺言書の内容によって相続手続きに取りかかる必要があるからです。
さらに遺言書には「自筆」「公正」「秘密」の3種類があり、それによって届出先や必要な手続きが変わります。
もし、遺言書が見つからない場合や内容に不満がある場合は、弁護士に手続きの代行を依頼するのがおすすめです。
遺産相続に強い弁護士をさがして代行を依頼すれば、スムーズに手続きにとりかかれます。
相続人調査(戸籍の収集)
遺言書が見つからなかった場合や、分割協議がすすまない相続財産がある場合は、相続人同士で協議のうえ、分割方法を合意のもとに決定しなければなりません。
もし、相続人がそろわない状態で協議をすると、決定した内容は無効となります。
親族以外の人が相続する可能性もありえるので、まずは誰が相続人で誰が相続人ではないのか戸籍を収集して調査する必要があります。
そのため、相続人が結婚、離婚、養子縁組など転籍を繰り返している場合は複数の役所で戸籍を取得しなければいけません。
戸籍は本籍があるところでしか取得できないため、県外にいる場合は取り寄せるなど面倒な手続きが増えます。
弁護士に依頼すれば必要な書類を代行して集めてくれるので、仕事が忙しく時間が取れない方や、自力で書類をそろえるのが不安な方は弁護士に依頼するのがおすすめです。
相続財産の調査
相続財産は預貯金だけでなく、被相続人(亡くなった方)の株式や投資信託、土地や建物などの不動産、自動車などの登録動産、積立生命保険などさまざまな資産が含まれます。
さらに、借金やローンなどの負債も財産に含まれます。
全ての相続財産に関して協議が必要になるので、遺産相続の手続きをスムーズに進めたい方は弁護士に手続き代行を依頼しましょう。
遺産分割協議
相続人と相続財産が確定したら、相続人同士で遺産分割協議をはじめます。
遺産分割協議に期限はありませんが、放置し続けるといつのまにか相続人が増え、話がまとまりにくくなる可能性が出てきます。
さらに財産の種類によっては分割方法がいくつもあるので、トラブルを回避するためにも早急に話をまとめた方が安心です。
遺産分割協議に関しても弁護士に依頼すれば、ケースバイケースで財産の種類や状況に応じて、協議を進めてくれたり、遺産分割協議書も作成してくれます。
相続人同士でトラブルを起こしたくない方は弁護士への代行依頼がおすすめです。
遺産の名義変更
遺産分割協議で決定した内容をもとに、財産の名義変更をおこないます。
土地や建物など不動産の名義人を変更するときは「相続登記」手続きが必要です。
この場合、被相続人の戸籍謄本や住民票、印鑑証明や分割協議書などの、書類を揃えて提出しなければなりません。
なお、遺産の名義変更にも特に期限はありません。
ただし長期間放置していると、被相続人の戸籍が取得しにくくなったり、相続人が亡くなって次の相続が始まるなどなにかと手間がかかります。
早く取りかかるに越したことはないので、こちらも司法書士などその道のプロに代行を依頼するのがおすすめです。
遺産相続の手続きは誰になにを依頼すればいい?費用相場も紹介
各手続きごとで代行を依頼する先は変わります。
遺産相続の手続きで混乱する前に、この章では以下の5つについて解説します。
- 司法書士に依頼するものと代行の費用相場
- 弁護士に依頼するものと代行の費用相場
- 税理士に依頼するものと代行の費用相場
- 行政書士に依頼するものと代行の費用相場
- 銀行に依頼するものと代行の費用相場
それぞれの費用相場について解説します。
司法書士に依頼するものと代行の費用相場
司法書士事務所に依頼する場合の費用相場は約10万円前後です。
依頼する主な手続き内容は、土地や建物など不動産の名義変更手続きです。
司法書士もしくは弁護士は不動産の相続登記を代行できる権限を持っています。
費用が気になる方は、遺産相続に強い事務所を比較して依頼すると安心です。
ただし、相続内容によって料金体系が変わる事務所もあるので、先に見積もりを出してもらいましょう。
弁護士に依頼するものと代行の費用相場
弁護士は依頼人に代わって交渉できる権限を持っています。
代行の費用相場は、依頼する手続き内容や事務所によってかなり変わるため、あらかじめ見積もりを出してもらうと安心です。
遺産相続に関わる手続きを全て依頼した場合、料金体系はこのようになります。
事務所や依頼内容によって金額は大きく変動するので、あくまでも一例として参考にしてください。
項目 | 内容 | 費用相場 |
相談料 | 遺産相続に関する弁護士への相談費用(60分) | 0円〜10,000円前後 |
着手金 | 遺産相続に関する具体的な手続きの代行依頼をしたときにかかる費用 | 200,000円〜300,000円(事務所や相続内容によって大きく変動あり) |
報酬金 | 遺産相続が完了した際に支払う費用 | 相続した遺産の額によって大きく変動 |
実費 | 手続きや、郵便切手・印紙代などにかかる費用 | 遺産分割協議:1.0000~3.0000円前後/調整申し立て:1.0000~5.0000円前後+交通費 |
日当 | 弁護士の出張費用 | 5.0000円/1日 |
その他手続き | 遺言書作成、遺産放棄など | 事務所によって変動あり |
弁護士に依頼すれば、相続時のトラブルや裁判に進展した場合に、対応を任せることができるため安心です。
さらに、司法書士や税理士と同じく不動産の相続登記、遺産分割協議書の作成、相続人調査、相続財産調査の依頼もできます。
他の士業と比べると料金はやや高めですが、相続に関する手続きやトラブルの対処など幅広く依頼できるのが魅力です。
費用がネックな方は、無料相談を利用したり、他の事務所と費用を比較してから代行を検討するのもいいでしょう。
税理士に依頼するものと代行の費用相場
税理士は相続人に代わって、税金の申告書作成・提出ができる権限を持っています。
費用相場は、相続した遺産の0.5〜1.0%と決めている場合が多いです。
これ以外にも「5000万円までの相続報酬は◯円」など独自の料金体系をとっている事務所があります。
遺産相続に強い税理士に代行依頼することで、手続きがスムーズに進み、不当に高額な費用を請求される心配がないので安心です。
行政書士に依頼するものと代行の費用相場
行政書士も遺産相続に関する戸籍取得や、遺産分割協議書の作成などの代行手続きを幅広く行っています。
ただし、代行を依頼する手続きの内容によって金額が変動するため、一番安くて30,000円前後から、幅広く代行を依頼した場合は200,000〜300,000円前後、費用がかかることもあります。
銀行に依頼するものと代行の費用相場
銀行によっては相続に関する各種手続きを代行しているところがあります。
遺産相続の手続き内容に応じて、弁護士や司法書士を紹介してくれますが、直接、士業事務所に依頼するよりも費用が高くなる可能性があるため、あまりおすすめできません。
遺産相続の手続きでよくあるトラブル
お金が絡むと、たとえ仲が良かった兄弟でも財産分割する際にもめる場合があります。
中には、もめたくないからと相手からの要望を承諾する人もいますが、その場合、本来相続できる財産よりもはるかに少ない財産を受け取る可能性もあります。
そこでこの章では、遺産相続の手続き中によくあるトラブルと対処法を3つ紹介します。
- 遺産の中に不動産が含まれている
- 遺産相続の分割協議がすすまない
- 明らかに内容が偏った遺言書がでてきた
遺産相続でトラブルを回避したい方はぜひ参考にしてください。
遺産の中に不動産が含まれている
土地や建物などの不動産は評価が難しく、さらに分割できない財産のため、遺産相続の中で最ももめやすい資産です。
相続人の中には、売却してお金に変えようと主張する人や、その建物に住み続けたいと主張する人で対立がおきることもあります。
もめた際は弁護士に相談しつつ、相続人が納得できる分割方法を探しましょう。
分割方法としては「家を相続した人が他の相続人に支払う代償分割」「全ての相続人で共有する共有分割」「土地をそのまま分ける現物分割」「売却後に換金して分ける換価分割」などがあります。
弁護士に相談しつつ、状況に合わせて話し合うと手続きもスムーズに進みますよ。
遺産相続の分割協議がすすまない
1人の相続人が遺産を独占していたり、相続人が多い場合は分割協議が進まないケースがあります。
基本的には、被相続人の配偶者や実子、さらに兄弟姉妹が相続人となる場合が多いです。
しかし、養子や非摘出子、生前の介護を熱心に担当してくれた人が相続人として遺言書に記され、相続人が増えるケースがあります。
こういった場合には、法律によって定められた相続人の条件や分割の割合、順位について知っておくと、冷静に話し合うことができ安心です。
法定相続人になれる人は上から順に「被相続人の配偶者→実子→親→兄弟姉妹」となっています。
法定相続人になれない人は「相続ができない理由に該当する人・すでに相続人から排除された人」です。
こういった内容を相続人同士で共有し、弁護士を交えて協議を進めると、話がまとまりやすくなります。
明らかに内容が偏った遺言書がでてきた
遺言書は被相続人の意思を叶えるためのものなので、本来は被相続人が決定できる内容です。
ただ、第三者に寄贈する、限られた相続人のみに相続するなど、偏った内容が記載されていることも少なくありません。
さらに遺言書としての形式が無効となっていることもあります。
この場合には、被相続人の遺言書作成時の判断能力や状況によって、無効とみなされる可能性があります。
弁護士に依頼すれば、遺言書の作成や内容の確認などを代行してくれるため、トラブルを避けたい方は早い段階で弁護士に依頼しておくと安心です。
遺産相続の手続きは費用をかけてでも代行依頼した方が安心
前述したように、遺産相続の手続きは複雑なため、自分でやるとなるとかなりの労力と時間がかかります。
さらに、相続人同士でトラブルが起きると関係性の修復が難しくなる場合もあります。
遺産相続の手続きに関して不安な方は、弁護士などの専門職に依頼した方が書類の不備やトラブルが起きたときに対処してくれるため安心です。
費用が気になる方は、無料相談を実施している事務所もあるので、まずは相談してみることをおすすめします。
横山法律事務所では、今回紹介した不動産の相続問題、遺産分割協議や書類の作成、特定の相続人に対する不当利得返還請求、また事業継承に関しても引き受けているので、まずはお気軽にお問い合わせください。